中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

どんぶり勘定経営の結末は(上)

ある中小企業の社長は税金を払うのを極端に嫌う人で、最近の著しく上昇している業況を見て、執拗に税理士先生に節税相談をしており、先生も困った顔をしている。

 

この会社は建設業で大手ゼネコンを取引先として年商は5億円程度ある会社である。会社の長期安定を考えていることもあり、その大手ゼネコンへの接待攻勢もすごい。

 

大手ゼネコンの工事長クラスを常に新地やミナミに連れて行っている。自分が行けない時の為に、ある新地のラウンジでは店のオーナーと契約をしており、大手ゼネコン社員が行くとサイン一つで飲めるように、おもてなしをしている。

 

大手ゼネコンとの取引では、支払いサイトが長く完成工事は末締めの翌月末払いだが、その他の仕掛状態の工事では、出来高の割合〇〇%をその月度で請求を起こし、翌々月の10日と20日に6:4の割合でファクタリング決済である。

 

したがって支払いサイトが長い分、労務費が主体となる建設業だけに、大手ゼネコンからの売上入金より、下請け企業への支払いなどの出金の方が先に来るので、その為にその分の運転資金を用意しておかないといけない。

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月商の2~3か月分くらいはストックしておかないと、もし不測の状態に陥ったら資金ショートを起こす心配があるから、手元流動性の理解を常に言っていたが、なかなか理解されず、どんぶり勘定の世界に染まったままの社長であった。

 

そしてお金があったら使いまくり、いざという時の為に、ストックしておくという意識が欠落している。その浪費癖はいつまでも何回言っても直らないので、我々も嫌気が差していた。顧問料をもらっていたので遠慮はしていたが、真剣にそのことで言い合いになったこともある。

 

先のことを考えて大手ゼネコンと密接な関係になるのもいいが、節度ある接待しないといつまで経っても会社に内部留保金が溜まらない。利益剰余金は会社の成績表であり一年間の努力の成果を数字で表したものである。

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いくら営業利益率の低い業種でも、ひたすら真面目にやっていたら利益剰余金も積み上がり、自己資本の厚みが出てくるもの。そして財務の安定性が確保できるが、その意識が全くないので困ったものである。

  

だから従業員の給料も頻繁に遅延し、労基に何回も駆け込まれ、労基のブラックリストに入っているのが実情であった。下請けへの支払いはきちんとしないと現場に来てくれなくなり、工事に支障が出るので優先的に支払っていたが、それでも支払いが遅れることがあり、元請の大手ゼネコンに直接苦情に行く下請け企業もいた。

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普通ならそこでその大手ゼネコンも見放せばいいが自分たちも接待攻勢を受けているから遠慮して言えない関係になっているのであろう。そういった問題も接待時にお願いしてもみ消してもらっているようである。呆れた関係だ。・・・・・続く