中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

従業員達に騙された素人経営者!(1)

ある不動産賃貸業が自社管理するビルの一階で商売されていたレストランから撤退するとの連絡が入った。ご主人の急病で事業の継続が困難となったらしいが、最近リニューアルしたばかりだったのでご主人は相当残念がっておられたと共にその病気を悔しがっておられた。賃貸借契約ではスケルトンにして返さないといけない条項が入っており、どうしたらいいかとの相談を受け、その不動産屋が内覧して総ての設備が揃っているだけでなく、店内リニューアルと共に厨房設備も一新されていたので、杓子定規にスケルトン返却はそれらが総て無駄になるので勿体ないと思ったようだ。熟慮に熟慮を重ね、取りあえず店舗内はその状態のままにして居抜き物件として借り手を探すことをビルオーナーに持ち掛け借主を探すことを検討することにした。

 

 

 

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その不動産屋はそのことを自分の奥さんに話すと、その奥さんがぜひ自分が飲食店のオーナーになりたいといった夢を実現するためにもやりたいと旦那に言った。おまけに従業員も揃っており経営の素人であっても、運営者が揃っているなら自分でもできると思ったのであろう。その奥さんも別に仕事をしており忙しい身だが、その店で働いていた従業員を一人ひとり面接し、中でもベテランの人で他でも店長経験のある人を新店長に任命し、その店を任せることにして自分はオーナーに徹することにした。もう夢であったレストランオーナーになれたのでうれしくてたまらなかったみたいで、あちこちに自分がオーナーになった事の自慢と店の宣伝をして回った。そのままでもすぐに営業できる状態ではあったが、リニューアルオープンを派手にしたいとの思いがあり、近隣住民への案内強化に向けた販売促進活動を徹底する為に1週間の準備期間を設けた。その間に新運営体制の確立に向けた新たなマニュアルの作成や旧オーナー時代にはできなくて、従業員が是非ともやりたかったメニューの導入なども実施した。みんなが経営に参加するといったミーティングも毎日実施したのである。

 

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新オーナーも本業が忙しい中、そのミーティングには毎日参加して楽しくやっていたようだ。従業員達が新オーナーを持ち上げてヨイショするので悪い気はせず従業員達が可愛いと思っていたようだ。従業員達の要望には何でも応えてやり、従業員達のやる気を喚起しようとしていたようである。みんなが「新オーナーの為に頑張ります」と言ってくれるので新オーナーも嬉しく、ミーティングが終われば毎日、試食会と銘打ってメニューに載せた料理を全員で試食する際に自分も参加して、それがエスカレートして食べや飲めやのどんちゃん騒ぎの決起集会になっていた。こうやってリニューアルオープン前は皆が一致団結して仲良くしており回転が待ち遠しい状態であった。

 

しかし、ここから悪夢が始まるのであった。

 

続く・・・・・・