中小社長が後継者不在の為、売却を検討してい
るが、同業他社に売却するのには抵抗があり、
また異業種に売却するには従業員や企業文化・
風土の不一致から難しいと考える社長が多いと
思う。そういう場合は、事業承継ファンドに株
式譲渡し、そこからハンズインの支援を受け、
会社の磨き上げが終わったら役員・従業員から
社長を選定し、株式を買い戻すスキームが増え
ている。
オーナー経営者のAは親族内に後継者が不在で
勇退と事業会社への売却を検討していたが、会
社の更なる発展を望み、新工場の建設も計画し
ていたため、承継ファン ドへの全株式の譲渡を
決めた。経営を任せる後継者には、 当時、工場
長から専務に昇格して間もないB(現代表取締
役)がいた。承継ファンドは、若手の財務担当
者を同社に派遣し、Bを中心とした経営体制を
支援するとともに、設備投資や販路開拓、人材
採用等も積 極的に行い、事業拡大に向けた経営
基盤を整備した。こ うして、4年間を掛け、経
営者としての自立を支援し、組織経営の基盤を
整えた結果、Bは地域金融機関の融資を受けて
自ら株式を買い取った。MBOによる自立で従業
員の意識も更に変わり、業績は順調に拡大して
いる。
(参考資料=中小企業白書)